shrinking city

池田氏の説。「人口の都市集中が必要だ」

20世紀までの国家のモデルだった主権国家(領土国家)システムはもう時代にあわなくなり、これからは都市国家の時代です。東京のライバルは大阪ではなく北京であり、札幌のライバルは大連や台北です。もちろんすべての労働人口が大都市に集まることは物理的に不可能なので、都市の階層化が進むでしょう。付加価値の高い情報産業や金融業が東京に集まり、その次ぐらいのサービス業が地方中核都市に集まり、製造業は日本の地方都市とアジアの製造拠点が競争し、それ以外の農村はリゾートなどで生きていくしかない。

したがって公共事業も地方に満遍なくばらまくのではなく、大都市圏と地方中核都市に重点配分すべきです。東京の一人あたり公共事業費は島根県の1.5倍しかなく、世界にも例をみない「通勤地獄」が解消されない。これではアジアの都市と競争できるはずがありません。それ以外の地方都市では、むしろ自然環境を保全することに予算を使うべきです。日本全国の海岸をコンクリートで埋め立てる港湾事業や、必要もないダムを造り続ける治水事業は、税金の浪費であるばかりでなく国土の破壊です。

都市に人口と経済を縮小させる一方で、住みよい地方を作るという考え方は、シュリンキングシティとかコンパクトシティとかで語られる文脈と変わらない。そのために何をすべきかということを考えるべき(多くの人が考えるべき)なのに、都市に人口を集中させるべきだとただ声高に叫ぶだけなのはどうだろう。自分なら、東京の高さ制限を緩和して、都市に超高層を立てやすくすることを提案する。景観や光環境ももちろん大切なことではあるが、すでに東京に住んでいる人だけが東京に低密に住み、日本全体の生産性を下げているのは、既得権益者のために損を被っていることになり、良くないと思う。地震対策や、光環境などを一定程度確保する上で、全体的な高さ制限を撤廃することが、人口集中には必要ではないかと考える。その際、ただ容積率を緩和するだけでなく、省エネ・新エネ措置をすることにより、容積率が緩和されるような制度にすることで、産業の活性化にもつながるのではないか。