why japan loses?

「日本はなぜ敗れるのか」(山本七平)を読む。
戦争になぜ敗れたのか、その原因を探ることで、日本人の平時には表れない民族的な精神性を探っている。
敗因21カ条

■合理性・不合理性(思想)
・日本の不合理性、米国の合理性
・日本の学問は実用化せず、米国の学問は実用化した
・指導者に生物学的知識がなかったこと
・基礎研究をしてこなかった
・人命を粗末にしたこと
■資質・物量の問題(ヒト・モノ)
・精兵主義の軍隊に精兵がいなかったこと
・物量などが米国に比べモノにならなかったこと
将兵の素質低下
・電波兵器の劣等
■精神論
・精神的に弱かった
・克己心の欠如
・反省力無きこと
・個人としての修養をしていないこと
・独りよがりで同情心がないこと
・バーシー海峡の損害と戦意喪失
・思想的に徹底したものがなかったこと
・兵器の劣悪を自覚し、負け癖がついたこと
・国民が戦いに飽きていた
・日本文化の確立なきこと
・日本文化の普遍性なきこと
■組織
・陸海軍の不協力
これらの敗因をグルーピングすると、まず思想として、合理的にものを考える教養が欠落していたことで寄って立つような精神の柱がなく、ヒトやモノが不足していても戦争状態に突入してしまった事があげられる。それに加えて、組織の内部摩擦もある。
「日本辺境論」と読み比べると実に興味深い。「日本辺境論」は日本人がどのような種族なのかを述べたものだが、それは「日本はなぜ負けるのか」に通じるところが有ると思う。思想として、合理的にものを考えることが出来ないのは、日本人がそもそも辺境の民として自らを定義しており、他国から取り入れたシステムをアレンジし続けていたからである。よって、自分で何かを考えるということをせずに、合理的に考えずに、権力にひれ伏す形で間違った方向に進んでしまった。そうすると、それが終わった後は、その本家のせいにして自分は言い逃れる道が出来ているという思考回路である。
しかし、私はこの「合理的な思考」というのは日本人の目指すべきところでは有るかもしれないが、到達できるものではないと考える。アメリカのように、何もなかった所に色々な人が集まってきて一から建国した国でなければ、借り物のシステムが取り敢えず続いているということは往々にしてあることだし、一概に否定することは非効率的であると考える。だとすれば、日本人が出来ることは、借り物のシステムを自分に合ったようにチューンアップして、もっといいものに作り替えることではないだろうか。それは、資源の少ない日本で、なんとか上手くやってきたことに由来する、一種の技能のようなものであると考える。だから、合理的な思考を目指しつつも、すり合わせの思考でしのぐという両者bを併せ持ったハイブリッドな思考でなんとかやっていくことはできないかと考えるのである。(例えばISOを日本版に作り替えたエコアクション21のように)