free

free(クリス・アンダーソン)をよむ。
もはや当たり前ともなったフリーの世界だが、グーグルやyoutubeなどのサービスは一昔前までは想像もできなかったことだ。それが今や、ほとんど費用を払わずに各種のサービスを利用すことができる。ただ、何かのサービスは、アトムからビットになったといっても、それはだれかがデータを構築したものと、サーバーの容量を利用しているのであって、完全にゼロコストであるとは言い切れない。その意味では、アトムの経済とビットの経済が完全に異なるものであるというわけではない。しかし、ビットの経済では、一つのサービスがフラットな世界にいる全ての人に訴求することができるので、限界費用をゼロに近づけることができる。そのことは、既存のマーケティングの概念やプラットフォームの開発概念を変えているのかもしれない。この転換を認識していないと、海賊版の撲滅に関するいたちごっこに多大な労力をかけて損をすることになりかねない。
フリーの形態
①直接的内部相互補助(顧客が何かを買うことを望んでいる)
②3者間市場(広告収入でまかなう)
フリーミアム(無料と有料のバージョンがある)
④非貨幣市場(評価とアクセス数が貨幣となる)

・考えることに費やされるコストは「心理的取引コスト」という
・コンピューターは最初その使い方がわからなかった。カッコよく見えるだけのアニメーションやディスプレーなど、一見無駄に見えるものが、使いやすさを付加し、消費者に訴求した。
・「安いこと」と「無料」の間にはギャップがある。
・勝者と敗者の格差が広がる「ネットワーク効果」がおこりやすい。
・グーグルの広告の再定義は「表明された欲求と商品を結び付けること」
・レコード会社の利益と音楽市場全体の利益を同一視するのは間違いだ
・フリーにかかわるコストは「隠されたもの」から「分散されたもの」に変わりつつある
・フリーと競争するには潤沢なものを素通りしてその近くにある希少なものを見つけること

①デジタルのものは遅かれ早かれ無料になる
②アトムも無料になりたがるが、力強い足取りではない
③フリーは止まらない
④フリーからも金儲けはできる
⑤市場を再評価する
⑥ゼロにする
⑦遅かれ早かれフリーと競い合うことになる
⑧ムダを受け入れよう
⑨フリーはべつのものの価値を高める
⑩希少なものではなく、潤沢なものを管理しよう

アトムからビットへの変化の時代は、産業革命の時代と似ていると著者は述べている。労働集約型の産業が知識集約型の産業に変化していく過程では、市場は大きく変容する。その時、その波に乗り遅れたり、間違った方向へ進もうとすれば、うねりの中に飲み込まれてしまう。常に原理原則に立ち返り、「資源は豊富か、希少か」を常に考え、それに応じた戦略を考えなければならない。

フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略

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