働くということ

「日本資本主義の精神」を読む

日本の資本主義には「見えない原則」があり、それが年功序列や戦後成長などの日本的特色を生み出している。そしてそれは、契約を肝とする欧米人には理解しづらい。またイスラム圏においては、神を信じない人とは契約できない。日本人は神を信じないわけではなく、約束を守る、「話し合い」絶対の精神があり、それを当然とする精神性がある。これは神と匹敵する絶対的な精神性であるということができる。職業の中に精神性を見出し、修行としての日常の業務を生み出す。また、共同体としての企業として、社訓や希望退職の慣行なども生み出している。
これらは、鈴木正三から石田梅岩石門心学へと続く日本のプラグマティズムと通じる。また、上杉鷹山のような名君主(破産寸前の藩を立て直した)が生まれたのは、君主みずからが畑に入って共同体の先人をきったのである。君主は私利私欲があってはならない。

日本資本主義の精神 (B選書)

日本資本主義の精神 (B選書)