ヨーロッパについて

資本主義の問題が明らかとなった今、安定した資本主義を目指すEUの手法に注目が集まっている。そこで、「ヨーロッパ型資本主義」を読んでみた。

アメリカの好景気は投資家の熱狂によって支えられていた
・統一した会計基準はあまりにもアメリカの投資家に有利に作られている
・投資家に頼ると、企業は安定した長期経営ができなくなる

ストックオプションが広がると経済がゆがめられる可能性がある
・現代欧州建国の父「モネ」、欧州統合中興の祖「ドロール」
・モネ時代→仏独伊+ベネルクス3国、平和の確立が目的
・ドロール時代→15カ国に拡大、世界の経済大国の形成が目的

EU財政の7割は独が負担している
・国によって援助を受ける国と、巨額の負担をする国がある
EU加盟の条件は市場経済の確立と、競争力を備えていること

EUの財政の中では農業補助が42%。公共事業は14%
デンマークスウェーデン→高福祉
・ドイツ、フランス→中福祉
・スペイン、ギリシャ→低福祉
・イギリス、アイルランド→民間重視

・イギリスは英米型資本主義で行くか、EU型資本主義でいくかでゆれている。
・ブレア首相の第三の道

スティグリッツ氏によると、1日1ドル以下で暮らしている人が世界で12億人いる
・1日2ドル以下は28億人
日本
吉田茂「町人国家」
池田勇人「所得倍増」
宮沢喜一「資産倍増」
細川護煕「第3の開国」
小沢一郎日本改造計画
小泉純一郎「聖域なき構造改革

・フランスのコルベール「重商主義
ビスマルク社会保障年金制度を設立」
・穏健な社会運動で労働者の地位向上「フェビアン主義

人口減少が進む国では、経済成長は期待できないので、量より質を重視する政策を採るべきである、その点でEUに学ぶべきところがあるというのが本書の趣旨である。EUの政策というと高福祉のイメージがあったが、やはり実際にはEUは一枚岩ではないということを改めて知った。経済統合体EUの中である面で見れば損をする国と得をする国があるように思われるが、その部分をどう乗り越えているかについて、さらに勉強を深めて生きたい。経済の統合は、人やものの流通を活発化させるので、単一のイデオロギーに支配されるリスクが少なくて済む。多様な国の伝統と、経済統一という矛盾しそうな課題を解決したEUの手法に学べば、東アジア圏の経済統一に日本が果たせる役割も見えてくるかもしれない。

ヨーロッパ型資本主義-アメリカ市場原理主義との決別 (講談社現代新書)

ヨーロッパ型資本主義-アメリカ市場原理主義との決別 (講談社現代新書)