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2009通商白書

■第1章 試練を迎えるグローバル経済の現状と課題

□第1節 金融危機から経済危機へと向かう世界経済
◆1.金融危機発生の要因
(1)米国住宅ローン市場の拡大とその要因
①拡大する住宅ローン証券化市場
②年金保投資信託資金の流入
③海外資金の流入
長期金利の低位安定→FRBによる短期金利の引き下げの失敗
⑤世界の優良資産供給国としての米国
⑥低下する投資収益率枯渇する優良資産〜新たな優良資産の開発
⇒債権株式の収益率の低下
⇒減少する優良ローンと増加するサブプライムローン
仕組み債→本来メザニン債であったものがまとめられてAAAの格付けを得る
⑦金融機関の証券化ビジネスへの傾倒

(2)米国住宅バブルが世界的金融危機に至った諸要因
①金融機関バランスシート構造の不安定化
格付け会社証券化商品の格付けの大幅な引き下げ
③市場の相互不信を高めるCDS→カウンターパーティーリスクへの警戒感




◆2.金融危機の各国経済への波及
(1)金融チャンネルを通じた危機の波及
①株価と為替→低下
⇒円安・ドル安・ユーロ高は一時的に歯止めをかけた。また、新興国ブームも歯止めになった。
②危機の前後で大きく変化した世界の資金フロー
⇒ドル確保競争、質への避難、投資資金の回収
(2)貿易チャンネルを通じた聞きの波及
①急減するせかいの鉱工業生産小売売上および財貿易
新興国ではそれほどでもない
②おy州諸国による材輸入の減少と各国地域の輸出
③各国地域の経済成長⇒一葉ではない⇒中国、インド、ブラジル、ロシアは減速しながらもプラス成長






◆3.金融・経済危機収束の条件

(1)我が国の経験方得られた曲クン
①マクロ経済環境の重要性
②マネーサプライと対民間信用
③市場(棟しか)真理の安定性の重要性
(2)金融危機の再発防止も含めた中長期対策
M2:M1【元金】と預金に準通貨を加えたもの
CD:certificate of deposite 譲渡性預金
コラム→なぜ金融工学金融危機を予測できなかったか
⇒現代のファイナンス理論が株価の変動が正規分布に従うという予測の上に成り立っているから。
実際には正規分布のグラフよりも中心が高く、裾野が広いグラフになる。
つまり、普通のことがかなり起こりすく、普通じゃないこともたまに起こるというもの。







□第2節 世界経済危機が顕在化させる各国地域の状況と諸問題
◆1.バランスシート調整に直面する米国経済
(1)大きく後退する米国経済
①大幅なマイナうsとなった実質GDP成長率
個人消費の減少、自動車など
コラム2 米国自動車の販売構造
ガソリンの高等、ローンの厳格化、消費の冷え込み
レガシーコスト、退職者医療費や年金が日本に比べて高い
③住宅市場、住宅価格の下落、空家の増加
④設備投資の低下
⑤雇用の低下、政府部門、公益事業、教育・医療は増加
⑥貿易、輸入、輸出ともに減少

(2)州・地域によって大きく異なる住宅価格の変動とその影響

①住宅価格指標(S&P、ケース・シラー住宅価格指数)
サンベルト地帯での投機的な住宅投資のふくらみ
②雇用指標 低所得研での失業率の悪化
個人消費支出 南西部中心にのび悩み

(3)家計部門のバランスシート調整に直面する米国経済

①米国家計部門における消費拡大の背景
・米国家庭部門の消費背景→選択的支出(ぜいたく)によるもの
・借入の増大
②住宅バブル崩壊による金融危機個人消費に及ぼす影響

(4)米国の経済金融問題への対応
景気対策(米国再生・再投資法)
再生可能エネルギー・教育・医療などへの投資
②金融安定化計画
・金融安定化信託
・官民投資プログラム
・消費者、企業への貸し出し対策
・住宅ローン関連支援と差し押さえ回避計画







◆2.世界の縮図として多岐にわたる問題を抱える欧州経済
(1)欧州経済の現状
金融危機後に景気工程に陥った欧州経済
②ユーロ圏の経済の動向⇒新興国向けの輸出の減少
③主要国と中そ東欧諸国の動向
金融危機を契機に進む負の連鎖
・輸出の受け皿(信用膨張型)→英国、スペイン
・輸出の拡大(輸出依存型)⇒ドイツ
マネーフローn集中(新興国ブーム型)⇒中、東欧
(2)信用膨張型
内需拡大と住宅ブーム
世界金融危機の影響 直撃
③金融安定化政策の効果 徐々に
(3)輸出依存型
①域内向けをはじめとして輸出の急速な落ち込み
②景気刺激策へのj期待 新車購入インセンティブなど
(4)新興国ブームの国
①域内向けの輸出と西欧からの成長資金
②域内経済悪化の複合的な連鎖の影響
③国際的な支援体制の拡充 IMFなどの資金供給
新興国なら早期に資金が回収できる

コラム3 ユーロ誕生10年の課題と成果
・金融政策の一元化、金利の低位安定、資金調達の活発化など
・域内格差の問題




◆3.内需拡大に向け舵を切る中国経済
(1)存在感を高める中国経済
郷鎮企業
(2)世界経済危機の中国経済への影響 外需の低下による輸出の低下
①減速する輸出
中国経済の輸出依存構造⇒約5割が加工貿易
・欧米の需要低下による輸出の低下⇒6割が欧米向け
・中国の貿易をになう外資系企業
②輸出の減速による生産調整 購入補助などの政策による改善
③生産調整による雇用・賃金への影響 農民工の失業

金融危機の金融機関などへの影響 なし

(3)中国の経済対策
①4兆元の内需拡大対策
・インフラ整備を中心とした内需の拡大 非効率な投資や財政状況の悪化の懸念


②経済対策によるインフラ関連投資増大と減速する不動産関連投資
・不動産⇒バブルを懸念した金融引き締め政策と金融危機の影響
③10大産業調整振興計画
④中国の消費刺激策
・家電下郷 家電への消費補助
・汽車下郷 自動車補助 百万代の需要を見込む
⑤中国消費市場の動向
・沿岸部の下落幅が大きい
・農村部の消費の伸びが大きい
⑦金融緩和政策
金利の引き下げ
・貸出しの増加
⑧貿易の人民元決済の拡大
(4)我が国との戦略的互恵関係の構築に向けて
①環境・エネルギー分野で期待される活躍の場
・科学的発展カンの実践に向けて
・人材育成
・日中省エネ環境贈号フォーラム
②市場としての中国
③現地人材の活用
・日本型の職業慣行とはギャップがある
④高まる中国企業の技術競争力
「走出去」戦略→中国企業の海外進出の推進政策
⑤求められる投資環境の整備
日中韓投資協定交渉
日中韓ビジネス環境改善アクションアジェンダ
コラム4 ITセキュリティ製品への強制認証制度(CCC)
・認証取得の際に、知的財産権の問題



◆4.世界経済減速の影響を受けつつも比較的堅調なインド経済
(1)インド経済の特徴
内需主導型の経済成長
②サービス産業が牽引する経済成長
③産業動向
・ITサービス産業 60%を米国が占めている
・製造業 ITサービス産業にはすそ野の広がりがない(?)
コラム5 インドは日本の後継者?
・消費者ニーズの厳しさ、職業を義務と考えるとことなどで日本と親和性がある

(2)世界的な金融経済危機とインド経済
①金融と実体経済への影響
・金融への影響 外国資本の流出
実体経済への影響 輸出の影響
②インドの経済政策
・2008年のインフレ金融引き締めから、金融緩和へ
財政赤字の拡大

(3)巨大消費市場としてのトレンド
①世界第2位の人口と豊富な若年層
②消費市場の拡大
・好調な自動車、携帯電話市場
(4)我が国との関係
①巨大消費市場への期待とインフラの不安
EPA交渉中
②インフラの状況
・道路 交通渋滞
・電力 電力会社の破綻
・鉄道、港湾
③我が国による協力
・デリームンバイ間産業大動脈構想
・PPPなどを利用してのインフラの重点的整備
・政府系ファンドによる投資環境の整備、雇用の促進
円借款供与 貧困問題、環境問題
・デリー高速輸送システム計画
④我が国企業の進出を阻害するインドの法制度
・雇用保護が手厚く解雇が困難

コラム6 テロとの戦いに挑む人工大国パキスタン BRICs NEXT11


◆5.輸出急減の中、内需拡大の課題に直面するASEAN経済
(1)ASEAN地域経済の概要
・我が国がASEANの投資受け入れ額全体の15%を占めている
(2)金融危機の影響 輸出の急激な減少
(3)ASEAN諸国の経済の概況
シンガポール 輸出依存がきわめて高く、影響大
インドネシア 内需の堅調さ
・民間消費がGDPの6割
・日本が最大の輸出国
ベトナム 外資受け入れにより高成長を遂げた
・チャイナプラスワン戦略の受け皿
・北部ハノイは外需向け
・南部ホーチミン内需向け
・2007年WTO加盟
④タイ 輸出不振と政情不安が懸念される
⑤マレーシア 経済危機の影響を受けつつも堅実な成長を続ける
・天然資源の輸出+集積回路
・民族的、宗教的多様性

(4)大メコン圏開発プログラム
・1992年からのハードとソフト面からのインフラ整備
・通関業務の円滑化

(5)ASEAN経済の統合
コラム7 アジア通貨危機と世界経済危機〜第2の波に立ち向かう韓国
・日本型経営モデルから米国企業型製造モデルへの変化
・アジアのなかで最も激しい落ち込み


◆6.資源・食糧価格の影響を受ける新興国・資源国経済の課題
(1)ロシア経済
①ロシア経済概要
・天然資源と個人消費に支えられrたロシア経済
・寿命の短さ67・5歳や金利の低さなどで消費を増やす傾向にある
金融危機の影響
・資本の流出、資源価格の下落の影響
③回復のカギはやはり資源
・資源の高付加価値化「サハリンⅡ」液化天然ガスプロジェクト
④日ロ関係
・自動車関連の輸出
・日本に対して親しみを感じている人が多い
・北海道の断熱パネルの輸出


(2)ブラジル経済

①世界経済の中で存在感を示し始めるブラジル
・80年代から90年代にかけてのハイパーインフレと対外債務危機
・93年12月のレアルプラン
内需
・ボルサファミリア(家族基金) 貧困層への生活費補助
・産業構造は多様性に富む→サービス業が主体。資源のみに依存しない
・海外資本の投入、格付けの向上
・メルコスール諸国(アルゼンチンなど南米諸国)との経済関係の強化
金融危機の影響
・金融収縮と生産活動への影響 資源銘柄に直撃
金融危機後の対策は適切
・消費と景気回復の兆し 影響は軽微
・ブラジル・コスト=硬直的な労働慣行、労働者の保護による労働生産性の低さ
③日本との関係
ハイパーインフレにより日本企業撤退
・その後、輸送機器や鉄鋼など一部の業種への偏りがみられる
・日本方式を基礎とするデジタルテレビ方式の採用
・世界有数のCDM大国
コラム9 多様な魅力を持つ中南米諸国
○アルゼンチン 
・対外債務問題は未解決だが、農業分野での成長性は高い
・パンパ=肥沃で平坦な温帯草原地帯
不耕起栽培=整地せずに播種する栽培技術 高能率
・大豆世界3位
○コロンビア 
・治安の改善により将来有望な投資先へ変貌
FARCコロンビア革命軍)ウリベ大統領の統制強化
・フリートレードゾーンの設置
○ペルー
・好調な内需の牽引により南米随一の高成長
・フジモリ政権以後の自由主義経済政策と健全なマクロ経済政策
ベネズエラ
・石油価格下落で苦境、日本との関係強化の兆し
チャベス政権

(3)中東・アフリカ経済
①経済の現状
・2010年には回復に転ずる
カタール 1人当たりGDP世界第3位
・政府系ファンドSWF(ソブリンウェルスファンド)などの動き
②中東・アフリカ諸国におけるビジネスチャンス
○中東
・資源開発 産業の多角化 インフラ整備プロジェクトなど
・エネルギー効率の上昇は日本にもメリットがある
・水不足問題への対応
上下水道インフラの日本の技術の進出余地
サウジアラビアのジェッドの「下水湖」の問題→日本の下水処理膜技術の活用
・RO法=高機能逆浸透膜を用いて淡水を得る方法
・MSF法=従来の方法。エネルギーをより多く使用する
○アフリカ
・経済統合の実現により、巨大な消費市場の出現の可能性
・携帯電話の契約件数はアメリカを超えている
・電力、原子力、太陽光、水力また鉄道など
・製造業のすそ野が徐々に拡大してきている
コラム10 世界的な金融危機のもとのドバイ ハブ機能の活用
・対外債務不履行の危機からの脱出
・物流のハブとしての機能は健在
・海運と空運の一体化を遂げたジュベル・アリ港(ジュベル・アリ・フリーゾーン)
コラム11 各国の中東、アフリカへの進出状況
・中国に対するサウジアラムコの石油供給
・中国の、アフリカ建設市場への参入
・アフリカとの関係の強化





◆7.世界経済の成長エンジンを期待されるアジア経済
(1)教訓
・米国、英国、スペインなどの住宅市場および個人消費の拡大と縮小
・日本やドイツなどの輸出立国は打撃を受けた
・中国インド、ブラジルは内需とインフラ需要により被害は限定的
ハンガリーや韓国などは資金を外部に依存していたので、新興国でも打撃が大きい
・→成長構造が抱える弱点が浮き彫りになった
(3)成長エンジンとなるための条件
・持続的成長、国内市場の健全な発展
・「内需があること」と「借金がないこと」が重要