暗流

「暗流ー米中日外交三国志」(秋田浩之)を読む。著者は自由学園最高学府卒で日本経済新聞社で流通経済部に所属していた人物。

タイトルから、米中日の外交に関わる暗黒的な部分がつづられていると想像していたが、内容はそこまでセンセーショナルなものではなく、むしろ近年の三国間の外交に関する動きと、それぞれの思惑について淡々と語られており、非常に読みやすく、かつすんなりと読むことができた。

この手の本は、著者自身の主観がかなり交じりがちで、それが適切な理解を妨げることが多々あるが、著者の主張と事実の描写、憶測の部分の記述のバランスがよく、すんなりと読むことができた。

1、中国の巨大化に伴う米国の警戒心の高まり
2、北朝鮮問題、対テロ戦、通商拡大などで、米中の連携関係は強まっている。
3、米中は同床異夢の長期目標を抱いている。
4、長期的には利害が対立する可能性が強まる。


それに対して日本が取り得る戦略は、
1、米と協調、中と協調
2、米と協調、中と対抗
3、米と対抗、中と協調
4、米と対抗、中と対抗
の4つのオプションが考えられる。これは選択肢ではなく、好むと好まざるとにかかわらず日本が受け入れてしまうシナリオである。


「日米関係を堅持し、米軍をアジアにつなぎとめる努力を払い、日中関係の悪化を防ぎながら、自前の防衛力を充実させる」ことが重要であるとしている。


暗流―米中日外交三国志

暗流―米中日外交三国志