Japan as frontier

「日本辺境論」(内田樹)を読む。日本人の特質を「辺境であるが故」という観点から読み解くと、色々と読めてくるというもの。
・日本人には自尊心はあるものの、常に文化的劣等感がつきまとっている。それは国民全体の感情を支配している。本当の文化はどこか他のところで作られていて、自分のところは何となく劣っているという感覚。この違いは、初めから自分を中心にして発展してきた民族と、辺境の民として発展してきた民族との違いであると考える。
・「戦艦大和の最期」がでてきた。「負けて目覚めることが日本にとって最上の道だ」として海軍大尉が死の意味について言及している。私たちは本当の進歩をしてきただろうか。
・総理大臣は日本の未来像について、他国との比較を通じてしか自国の目ざす国家像を描けない
・何をやっても日本人は無知ゆえに間違っている。日本人は自分たちがとそう思われているのを知っていた。
・だれかがこう言っているからこうなのではなく、そんなことをいう人は私のほかには誰もいないけど、私はそう思うということが指南力のあるメッセージを発するということ。
・辺境を自覚することで、日本人にしかできないことが見えてくる。
君が代万葉集の雅歌にイギリス人が曲をつけ、宮内庁の額人が改作し、ドイツ人がアレンジした。
・ものを学ぼうとするなら、「なんだかよくわからないけど取り合えず学ぼう」という心構えが必要。
・学び方を学んだあとは、どんなものでも師匠として学ぶことができる・レヴィストロースのブリコルールでは、「こんなものでも何かの役に立つかも知れない」というものを収集し、実際に役立たせる
・学ぶことも、一緒で、これを学ぶことがあとで役に立つかも知れないと直感することが大事。何を学ぶかよくわからない中で、役に立つかも知れない何かを拾い集め、そして実際に役立たせていくというのが学びの構造である。
・マンガは絵と音を一緒に処理する日本語の特徴であり、マンガ文化は日本の風習に立脚して独自の発達を遂げている。
・外来の知見を正系とし、そこから亜流のものを作り出していく日本文化の特徴は、ニッチではあるが特徴的であり、面白い。

日本辺境論 (新潮新書)

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