研究ということ

企業の採用が文系と理系で分かれていることが多い。公式には文理不問と書いてあるが、実際には文系が有利とされている企業と理系が有利とされている企業がある。なぜか。

文系と理系の違いは「研究」にあると思う。文系の中にも、金融工学統計学のように、限りなく理系に近い学問分野を専攻している人もいるし、理系の場合でも、調査やヒアリングなど、社会科学的なアプローチで研究を進める人も多い。しかし、大方の文型の学生は、大学院に行かないので「研究」をせずに就職することになる。すると何が起こるか。理系の場合、研究を通して問題提起、データの収集、データの分析、問題の解決、という一連の流れを論理的に組み立てる作業をある程度の時間をかけて経験することになるが、文型の場合はそのプロセスを経ていない。ということは、一生のうちでかたや理系が2年間真剣にひとつのことに考えて成し遂げたものが、かたや文型になるとそれがないままで就職をしなければならないということになる。当然、文型の方が職種が限られてくる。もちろん文型のほうが有利な部分もある。既存の論文や、s社会現象などから、独自の視点で論を展開するのは、理系の視点にはない発想を培うことのできる可能性がある。理系の学問が深く狭い部分を探求する学問であるとしたら、文型の学問は、既存の現象を広く浅く、鋭い切り口で見る学問であるといえよう。そのことは、恐らく就職のときにもかんけいしてくるのだと考える。文系的発想で世の中を水平横断的に見る力は、ビジネスやアイディアなどにおいていかせる面も多い。一方で、理系が培った技術は、その人本人にしかない技術であることもあり、そこから派生して、さまざまな発想を生み出すことができる。また、研究を通して培った問題解決力、論理思考力などが試される場においては有利に働くと考えられる。しかし、ひとつ言いたいのは、理系は文系の学問を学ぼうと思えばいつでも学べるが、文系は理系の学問を体系的に学ぶ機会は少ないのではないかということである。上記の理由から、理系と文系の両者の利点をかねそろえることが最強であるのは明らかであるが、両者をかねそろえやすいのは、どちらかといえば理系だと思うのである。理系が文系の学問を学ぶのは、本を読み、講義を聴き、論文を書いてみればそれなりに学べるのではないか。しかし、文系の人が理系の実験や調査をすることは、高校生あたりの勉強から始めないと難しいのではないかと思われる。
両者を学び、それぞれを理解するのが一番であるとは思うが、以上のような理由から、文系出身者には理系の頭を供えるのは難しいと思われる。そのため、文系的思考と理系的思考、すなわち水平的思考と垂直的思考を同時にできる人は理系出身者に多いのではないかと思っている。
自分の「研究」および最近本を読み始めたことを肯定する意味で考えたことを書いてみた。